金融危機の前触れ? 経済の脱コロナはまだ先か
一瞬、リーマン・ショックを思い起こさせた。
米国でシリコンバレー銀行、そして連鎖的にその他金融機関の経営破綻が続いた。金融市場は動揺したが、当局の対応も早く、今のところ大きなショックは起きていない。
日米とも株価は安定しており、金融危機への不安は一先ず後退したと言える。ただ1980年代以降、米国発の金融危機は、いずれも政策金利上昇後、しばらくしてから起こっているという。
もしかしたら、これが世界的な金融危機の前触れなのかもしれず、予断を許さない状況と言えよう。
一方で、SVB 破綻は利上げの終焉を示唆しているということで、今年後半にFRBは利下げをし、金利が下がれば株も上がるという楽観論もある。
ただインフレはまだ抑制しきれていないし、市場の見方とFRB の政策には大きな開きがありそうだ。
金融危機というのは、結局いつも先が分からないからこそ起こる。コロナ禍以降、一寸先は闇の状況で、常に何が起こってもおかしくない環境の中で世の中が回っている。
感染症対策という面ではやっと平時に戻ろうとしているわけだが、コロナがきっかけで起こったインフレや利上げ、そして今回の銀行破綻の連鎖という一連の流れを見るに、やはり大きな歪みが収束できていないようにも思われる。今年度もそんな不透明な状況下でスタートした。
ただ国内には明るい兆しはあり、コロナ規制緩和によって増えた人流、インバウンド需要の回復等、景気が上向く期待は持てる。
最近の日本の繁華街、観光地は、コロナ前に完全に戻ったようである。
■新年度金融危機の前触れか、先行き不透明ながら明るい兆しも
インバウンドや賃上げ等、明るい兆しも
また企業の賃上げも進みそうだ。住宅会社でも大和ハウス、積水ハウスは共に大卒初任給の2万円アップ、加えて積水は5年ぶりのベースアップ6%を発表した。
大和はシニア再雇用の給与も大幅上昇としたほか、アキュラホームも初任給のアップや最大10%の賃上げを行うという。
中小企業でも55%が賃上げ実施予定、賃上げ率は29年ぶりに3%台に乗るとも言われる。
これが全ての日本企業の実態を表しているとは思わないが、最低賃金の地方底上げも報じられ、賃上げムードは広がっているはずだ。
前黒田総裁下の異次元緩和で、デフレでない状況を実現できた。
このところ安いニッポンと揶揄され、他国と比べて経済的な後れを感じていた中、WBCで完全優勝した侍ジャパンに日本は勇気をもらった。
脱コロナと賃上げ実施を受け、デフレを脱した日本経済に、新年度、活気が戻ることを期待したい。(関)
JSKコラム(2022年)住宅業界太陽光発電月刊TACT脱炭素