激動2022年 住宅業界10大ニュース


 
■ 2022年の住宅業界に関連する10大ニュース
2022年の住宅業界に関連する10大ニュース

経済の波乱が住宅業界を直撃

2022年はとにかく世の中の動きが激しかった。
インフレ、円安など経済動向に急速な変化が起き、住宅業界は経済環境に激しく揺さぶられた1年だったと言える。
40年ぶりのインフレ、為替は1ドル150円への急速な円安から130円の円高へと振れ幅は大きい。
年末には日銀の実質利上げの報道もあり、住宅ローンに多大な影響を与える可能性もある。
あらゆる資材価格が高騰し、価格転嫁しつつも収益を下押しした。
住宅価格の上昇は続き、デフレ慣れした消費者には様子見ムードが広がりつつある。
買い時が難しくなり戸建住宅市場は冷え込みを見せた。 

戸建受注、また持家着工は1年間に亘って前年割れを続けた。
現状のペースでは60年前の低水準だった2020年度を下回る着工になるだろう。
コロナ禍の勝ち組である建売市場も勢いは鈍化した。
分譲大手は地価の上昇もあり、21年度の収益は過去最高を達成したが、資材高騰影響に土地仕入価格上昇で高収益構造はピークアウトした。 
 

牽引役は賃貸、リフォーム、海外事業

唯一、受注・着工でプラスとなったのが、完全に底を脱した賃貸住宅である。
大手受注は連続増、着工は2年近くプラスを維持する。
しばらく貸家市場は堅調を維持できそうだ。
リフォーム事業も約2年間、受注は堅調を維持する。
在宅時間の増加によるコロナ禍の新需要やリベンジ消費が動き、補助金による支援制度も後押ししたと見られる。 

大手ハウスメーカーの決算では海外事業が絶好調で業績全体を牽引した。
米国住宅市場は足元では厳しくなっているが、販売価格の上昇と円安効果で22年度の国内大手メーカーには海外事業の利益激増という結果をもたらした。
 

脱炭素社会への歩み

脱炭素社会へ向け、住宅の断熱性能表示が改正された。
断熱等級5~7が追加され、ZEHはもはや標準レベルの性能に位置付けられた。
ZEH普及率は高まり、アパートでのZEH仕様も急速に進んだ。 

東京都が全国で初めて太陽光パネル設置の義務化を決めた。
賛否両論あり施行は2025年4月からだが、インパクトの大きい制度決定となった。 

木造建築の大型化、高層化も進んだ。
住林の木造ビル、三井の木造マンション等、従来のRC構造から木造化へのチャレンジだ。
アキュラホームは純木造で初の5階建モデルハウスを開設。
特殊部材でない一般の木材での施工は画期的である。 

大転換期だった2022年から、更に不透明さが増しそうな2023年、舵取りが極めて難しい1年になりそうだ。 (関)
 

もっと月刊TACTの記事を読む

※無料試読のお申込みはこちら

by .