労働力不足で大事になるダンドリ


 

人手不足の建設業界

建設業の就業者数の減少が続き、高齢化も進む。
以前から大工が足りなくなって家が建てられなくなるという問題も指摘されている。
一方で、ロボット技術等が進化していけば、究極的には工事を無人化し、ロボットが施工することも可能になるかもしれない。
現状は工場での自動生産や、人が移動することを極力減らして遠隔での工事管理等が進められている段階であるが、工場生産中心の大手ハウスメーカーのノウハウは、人手不足の状況では強みになる。 

■建設業就業者数の推移
建設業就業者数の推移※国土交通省「最近の建設業を巡る状況について」、「建設投資見通し」
 

ハウスメーカーは工程自動化と管理無人化へ

セキスイハイムは工場生産化率が極めて高いことで知られるが、その工場での構造体生産工程自動化率が今年85%に達する見通しだ。
主力工場でユニット構造体組立設備を大幅リニューアルし、大型溶接ロボットを12台導入、2系統あった生産ラインを1系統に再構築。
2020年に比べて生産性が15%向上し、1日当たり15人工の工数を削減したという。

今後も部材供給のハンドリング技術の開発や、内装・外装や仕上げ工程での自動化拡大によって、2030年には2020年比で30%の生産性向上を目指し、自動化率95%まで上昇させる。
7工場全体で生産ラインの組立工程で約100人工の工数削減を目指す。 

大和ハウスではBIM の導入を進める。
2017年4月に5名の推進室発足からスタートし、今年4月には200名体制の建設DX推進部に発展、デジタルコンストラクションの取り組みも始動し、設計・施工・工場の省力化・無人化を目指すことで生産性向上を図っていく。

■将来的に現場管理無人化へ進む
将来的に現場管理無人化へ進む※大和ハウス発表資料より
 

ビルダー・工務店も業務効率化は必至

ビルダーや工務店に向けた建設DX も広く普及するようになってきた。施工管理ではANDPADやダンドリワークといった企業が有名どころであるが、施工現場に必要な情報や、図面などの資料をクラウド上に一元化させる。
電話・FAX・メール等の従来のツールで発生していた連絡ミスや手間、無駄を回避する仕組みだ。利用しているところも多いだろう。 

いずれにしても資材価格が高騰し、労働力不足の下では、工数を減らすコストダウン手法が欠かせない。
施工現場の情報と進捗を管理するのが施工管理部隊だが、営業や設計の前工程の精度が高く、リレーションがしっかり出来ていれば、工事監督の業務は非常にシンプルで楽になり、最終的には無人化できるという。

待ち時間、移動時間、ミスのやり直し、ムリ・ムダ・ムラが多いと言われる住宅施工工程において、段取り通りに事が進めば、施工単価も落とせるはずだ。
法令上の課題もあり、完全無人化までには遠いが、省人化、無駄をゼロにする等、出来るところから効率化し、コスト削減を進めたい。(関)

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