東京都の太陽光発電義務化?


 

太陽光発電義務化で想定される課題

東京都の新築住宅に対しての太陽光発電義務化が揺れ始めている。
脱炭素を目指すことは求められるべき方向性であり、それ自体は地球環境対策として重要な施策であろう。
今年は電力逼迫により、7年ぶりに計画停電が行われる可能性もある。
ただ都内での太陽光設置には、そこまで有効性があるのか、逆にマイナス面もあるのではないかという疑問を感じるところは多い。 

■太陽光発電義務化への課題
太陽光発電義務化への課題

第一に、ただでさえ地価や建物価格の上昇が進んでいる中で、住宅価格上昇に拍車が掛かるということ。
補助金が出たとしても、設置を義務化するというインパクトは大きい。
反対に太陽光を設置していない家庭においては、余剰電力の買取分が電力の賦課金として、徴収されることになるはずだ。 

第二に、東京都で建てられる家の大半は小規模な住宅である。小さな屋根に太陽光を載せても大きな発電量にはならないと見られ、脱炭素貢献度はそこまで高くないと考えられる。
コストアップに対しての補助金が出るとするならば、むしろ大量にあるストックの断熱化や大きな太陽光パネルを載せられる建物への搭載の方が脱炭素の効果は大きいのではないかと思われる。 

第三には、太陽光パネルの供給が維持できるかどうかの問題である。
仮に東京都で新築される年間約3万棟の持家・建売住宅に設置ということになると、パネル生産が逼迫する恐れも出てくる。
太陽光パネルは中国での生産に依存しているため、今後滞りなく供給が維持できるかが不安視される。
今のところ、現在の設置数であれば大きな生産遅延の声は聞こえて来ないが、今後義務化に限らずZEH推進等で、太陽光需要が増加するとした場合、コロナ禍で不足が続く半導体を使用する給湯器やトイレ等のように、仕入れ困難な設備の一つになりかねない。
 

脱炭素と消費者メリットの両立がカギ

国の方針は脱炭素を推進する方向であることは間違いない。
住宅への支援事業を見ても、住宅ローン減税やこどもみらい住宅支援事業におけるZEHへの優遇は顕著である。
従来の断熱性能等級4の義務化は2025年に先送りされたが、こどもみらいでは従来の省エネ基準レベルは6月末までの契約で補助対象から外す方針だ。

性能向上への動きとして、ZEH基準の等級5が4月からスタートした。10月からは等級6、7が設定され、より高い性能の格付けが始まる。新築住宅全体の省エネレベルを高めていくことは歓迎されることであるが、脱炭素と消費者の経済的なメリットは両立されるべきである。(関)

■省エネ義務化から更に高性能住宅へ
省エネ義務化から更に高性能住宅へ※国土交通省資料より
 

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