消費者物価上昇率は鈍化するのか?


 

日銀新総裁、間もなく誕生

新しい日銀総裁が間もなく誕生する。
日銀の政策、総裁が発する一言一句に世界中の注目が集まるが、10年間続いてきた異次元金融緩和から正常化に向かわせるのは、とてつもなく難しい大仕事である。
巷では、黒い田んぼに、稲を植えることで実りある田んぼにしてもらいたいと例えられるように、植田氏への期待は高いようだ。
黒田総裁の評価はまちまちだが、当時の日本にはマイナス金利の異次元緩和が必要だったのであろう。
正常化を難しくした面もあるが、株価上昇を始め当然功績もあったと思われる。
住宅ローンが超低金利を維持したことに関してはありがたい施策であった。 
 

物価上昇率は41年ぶりの高水準

今年のテーマは物価と金利の動向である。
その物価上昇率に関しては1月がピークだとされる。
1月の全国消費者物価指数は総合で前年比4.3%、コアCPIでは4.2%上昇と、41年4ヶ月ぶりの高い物価上昇率となった。
生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは3.2%の上昇である。
そして2月には国の電気代・ガス代の補助の影響により上昇率は下がる見通しである。
先行して発表される東京都区部の2月物価上昇率は総合で前年比3.4%、前月比では0.6%下落、コアCPIは前年比3.3%上昇、前月比0.7%下落と確かに低下した。
電気代指数が前年を下回って、全体の物価上昇率を押し下げた。全国の指数でも同様の結果となるだろう。
 
■1月の消費者物価指数は41年ぶりの上昇率、エネルギー補助で2月から下がるが…
1月の消費者物価指数は41 年ぶりの上昇率、エネルギー補助で2月から下がるが…

住宅価格はまだ上がる?

但しエネルギー価格を除く指数では、3.0%→3.2%上昇と勢いは鈍化しておらず、前月比でも0.3%の上昇。
エネルギー以外の物価上昇率は全く下落していないということだ。
住宅資材価格では木材はピークアウトしたが、設備メーカーの再値上げはまだ続き、4月以降がラッシュである。
人手の足りない工事においては、施工の労務費も上昇するだろうし、住宅価格はまだピークアウトするという段階ではないだろう。
更には電気ガスの補助金は期限付きで、その後の物価はどうなるのか。
インフレによる家計圧迫はまだ弱まるとは言えず、住宅購入マインドが持ち直すにはしばらく時間が掛かりそうだ。

そして、注目は日本の金利動向。米国は利上げペースを加速させるFRB 発言等、世界中が利上げのムードの中で、新総裁はどういう手を打って来るか。住宅業界はまだインフレが収まらない中での利上げ局面を乗り切らなければならない。(関)
 

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