トヨタとパナ、住宅業界大再編が始まる


2018年度決算の発表時期に合わせて、令和最初の大型事業統合のニュースが駆け巡った。トヨタ自動車とパナソニックの住宅事業統合会社の設立である。

 

業界が大変革の時代に突入

トヨタとパナは車載電池で提携しての新会社設立等、かなり近しい間柄にあり、住宅事業でタッグを組むという動きも不思議ではない。
平成の時代の終盤には、トヨタホームはミサワを子会社化し、パナソニックが旧パナホームを完全子会社化する等、住宅事業の統合の動きは出て来ており、住宅事業統合の第一幕は既に始まっていた。
そしてこの2陣営が一緒になるということは可能性としてはありうる話であったわけで、経営統合の一つのカードであったと言えよう。
両陣営が住宅事業で一緒になることは、将来の住宅市場縮小への危機感と、テクノロジーの進化により業界が大変革の時代に突入することという、側面があったと言える。
 

戸建戸数は3社で1万7000棟

日本を代表するこの大企業2社が組むということは、インパクトとしては大きなものだ。
実際に戸建戸数は3社合わせれば17,000棟ということも報道されており、別会社で全く異なる住宅とはいえ、グループとしてひっくるめれば、積水ハウスや一条工務店を上回る戸建住宅の供給規模となることは確かだ。
規模的にも優位なポジションを築ける。
 

新築戸建以外の分野が勝ち残りのキーワード

ただ既に住宅業界は新築棟数で数を追うという時代ではなくなりつつある。
数だけで見れば飯田グループホールディングスが45,000棟規模であるから、現状戸建棟数では何処も敵わない。
住宅業界は、今では新築戸建以外の分野で稼ぐことが重要な勝ち残りのキーワードでもあり、その意味ではトヨタ自動車とパナソニックが目指すものも、数を増やすというよりも、次世代の住宅市場、その先に街全体でくらしの新たな価値を創造するまちづくりといったところを目指している。
末端社員はライバルでありつつも、両グループの技術、ノウハウ等を持ち寄って、大変動が起こるであろう住宅市場で、共同で戦う姿勢のように見える。
 

くらしをアップデートしていく時代

IoTで何でもつながる時代になり、5Gでその通信速度や規模もまるで変わってくる。家とクルマがインターネットでつながり、エネルギーを融通させたり、街そのものが未来型のスマートシティーとして変わっていく。
テレワークや自由で安心快適な様々なモビリティサービス、人々の暮らし方そのものも変わる。パナソニックの掲げるくらしをアップデートしていく時代がもうすぐやってくるはずだ。大再編の第二幕が上がる。(関)
 
■トヨタ自動車とパナソニックの住宅事業統合
トヨタ自動車とパナソニックの住宅事業統合
 
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