環境貢献なくして企業成長なし


 

環境と経済の両立を考える

地球温暖化の原因が、大気中のCO2 の濃度上昇であると実証した研究成果が、今年のノーベル物理学賞に選ばれた。

受賞した真鍋氏は1960年代から気候変動予測に取り組み、複雑な物理システムで地球の温暖化をシミュレーションする「気候モデル」の手法を開発。
CO2の量が2倍になると気温が2.3 度上昇することを50年以上前に突き止めたという。 

2020年代の今頃になってようやく様々なリスクを危惧し、地球温暖化対策に世界中で本気で取り組む方向にシフトしてきている。

環境と経済の両立を考える時代だ。日本の住宅業界は環境に貢献し、ZEH 化や自然災害対策等に力を入れている一方で、2020年の省エネ適合義務化は先送りされ、まだ業界全体の足並みが揃っているわけではない。 
 

ハウスメーカーのESG

先進的なハウスメーカーはもう一歩先に進み始めた。ZEH 推進、蓄電池の搭載、ストック循環、そして自社の事業運営で使用する電力に再生エネを使う方向へ向かっている。RE100にいち早く名乗りを上げた積水ハウスは卒FITオーナーからの電力買取を加速し、再生エネ100%を2030年頃には達成見通しだ。

旭化成ホームズもRE100に参画し、2025年に一番乗りを実現しそうである。
大和ハウスは自社発電を含む環境エネルギー事業を推し進めならカーボンニュートラルを目指し、住友林業はバイオマス発電や持続可能な森林経営に取り組む。 
 
■ハウスメーカーの住宅・エネルギー循環の仕組み
ハウスメーカーの住宅・エネルギー循環の仕組み
 

CO2排出量・温暖化損失影響開示義務化へ

この環境貢献への取り組みは、今後ますます企業価値とみなされるようになっていく。
金融庁では上場企業等、約4,000社を対象に温暖化ガスの排出量等の試算や、気候変動に伴う業績などへの影響の開示を義務付けることを検討しているという。

2022 年4月の市場再編でプライム上場企業の開示から始め、23年以降には有価証券報告書提出企業全体に開示を求めていく見通しだ。
温暖化ガス排出量が何万トンで、いつと比較して何%削減した等という開示に留まらず、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づく方針という。

CO2 の排出が地球温暖化につながっているということは、今では環境問題の常識である。
森林破壊も自然災害の甚大化につながっている。

住宅業界の果たすべき役割は明白で、負の連鎖を断ち切り、環境保全の好循環を生む事業モデルへの転換は必須だ。環境貢献なくして企業成長はない。(関)
 
■気候変動問題のTCFDが例示する項目
気候変動問題のTCFDが例示する項目

 

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