ハウスメーカーのちょうどいい家戦略


 

ハウスメーカー商品には手が届かない?

今、新築のマンションが高い。特に東京23区内は高止まりして、一般の消費者には手が届かなくなってきている。売り出される物件自体も減り、また契約率も低下している。
その新築マンション諦め層の受皿になっているのが、建売住宅や中古マンションで、この市場は拡大している。

これと似た現象にあるのが、ハウスメーカーの戸建住宅で、年々平均単価は上昇を続けている。3,900万円くらいが平均といえば、やはりちょっとお金持ちじゃないと手が届かないようになっている。

その受け皿になっているのはビルダーであり、タマホームやヒノキヤ、アイ工務店等がハウスメーカーの諦め客を捕捉する。このままいけば、ビルダーの方へ顧客が移っていくことは避けられなくなると見て、ハウスメーカーは客を手放さないような手を矢継ぎ早に打ち出し始めた。

まず積水ハウス。2月からグループの社名変更等の刷新を行ったが、その再編企業の一つが「積水ハウスノイエ」である。従来から手掛けてきた積和建設の戸建住宅「パルタージュ」を売る会社として2月に設立し、2,000万円台の住宅を売っていく。
 

資材調達・業務効率化でコストダウン

全国17社の積和建設のうち、新築需要が比較的高い24都府県の新築木造事業を分割し、新会社が引き継ぐ。全国10ヶ所に販売拠点を置き、「品質や機能、価格もちょうどいい家」を求める層を狙っていく。
坪単価は55万円からとし、グループとして資材や調達、物流等を全国で一本化することで、資材調達力、業務効率化を図ってコストダウンする。

住友林業もセキスイハイムもコストを抑えた商品が売れており、大手メーカーは高額化の一方で一般消費者に手の届きやすい商品にも本気で力を入れてきている。
 

ネット販売で売り方も簡略化

ネット販売も強化させる。大和ハウスはWEB限定商品「ライフジェニック」を昨年発売。専用サイトで6つの質問に応えるライフスタイル診断をした後、提案されたデザインテイストから設備までを決定し、概算価格が出てくる。
対面商談がいらないため、発売から1ヶ月で契約が出始めた。客の動きとしてもこれまでにないスピード感だという。

ヤマダホームズも「ネットde住まい」として、WEB商品を供給開始。旧エス・バイ・エル時代にも実績があるが、完全企画プランで再びこの事業へ参入する。
質問や問い合わせはメールや電話、専用相談カウンターで対応する。

ビルダーが売っている価格帯は、ボリュームゾーンである。大手も「ちょっと高い」から「ちょうどいい」を狙う。セカンドブランドや限定商品によって客層を広げることで、受注拡大を図る戦略である。(関)
 
■ハウスメーカーのちょうどいい家
ハウスメーカーのちょうどいい家

 
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