2019年 住宅メーカーが描くのはどんな未来?


平成最後の年末、ハウスメーカーにとっての“平成”を振り返ってみる。

平成元年

平成元年はバブル景気真っ只中の時代だった。しかし、平成3年にはバブルが崩壊。景気の後退とともに住宅着工も減少を始めた。

また、マンション構造計算書偽造事件に端を発した建築基準法改正(平成19年)や、リーマンショック(平成20年)の2つの出来事により、平成21年の住宅着工は45年ぶりに80万戸を割った。これに人口のピークアウトが重なり、本格的な需要減少が進み始めた時代でもある。

平成元年に初めて導入された消費税は、平成9年に5%、平成26年に8%へと引き上げられ、住宅需要に大きな影響を与えてきた。そして、来年は新元号となり新しい時代の幕開けから、数カ月後には10%への増税が予定されている。
 

平成初期

平成初期は、ハウスメーカーが圧倒的な力を誇っていた。

バブルの時代を除いて最も住宅着工数が多かった平成8年(163万戸)の住宅販売ランキングを振り返ると、1位から順に、積水ハウス、積水化学工業、大和ハウス工業、ミサワホーム、ナショナル住宅産業(現:パナソニックホームズ)、住友林業、旭化成ホームズ、三井ホーム、というようにいわゆる大手8社が綺麗に並んでいた。

しかし、この強固な上位メーカー群に風穴を開けたのが、平成10年に九州で設立されたタマホームだ。同社が最も順位を上げたのは設立から約10年後、奇しくも業界全体が最も苦しんだ平成21年度である。

不況の時代に急成長を遂げたタマホーム旋風は、その後のビルダーが行うべきビジネスのヒントになったとも言え、各地で様々なビルダーが勢力を強め始めることになる。
その後、一条工務店の躍進や、パワービルダーと呼ばれる分譲系の飯田グループの台頭も記憶に新しいところだろう。

平成の新設住宅着工戸数の推移(平成元年~29年)
平成の新設住宅着工戸数の推移
 

メーカーシェア低迷の外的要因

人口減少、高齢化社会の到来、若年層の可処分所得の低迷、老後不安、生涯賃貸派の出現…などなど、メーカーシェア低迷の外的要因はいくつもある。

しかし、その最大の要因と考えられるのは、“戦後の住宅不足の解消を目指す”という当初の目的が達成され、人口減少の世の中へと時代が変わってしまったことだろう。
もちろんメーカー側も、“量”より“質”の追求で一定の差別化を図ってきたが、国の方針により、すべての住宅で一定以上の性能を持つことが義務化されるなど底上げが図られた。

この他、ネット社会が進み誰もが簡単に「家づくりに関する情報」を仕入れ、建築したユーザーの口コミ情報を知りやすくなったことや、比較検討の幅が広がった事、ビルダー側でも比較的簡単に情報発信ができるようになったことも理由だろう。
 

ハウスメーカーが目指していくもの

では今後、ハウスメーカーが目指していくものは何か。
 

積水ハウス

積水ハウスは来年1月、国内住宅メーカーとして初めて、アメリカで開催されるCES(Consumer Electronics Show・世界最大級のエレクトロニクス見本市)にブースを出展し、「人生100年時代の幸せをアシストする家」として、同社のプラットフォームハウス構想について発表するとしている。

具体的な内容については見本市及びその後の発表を待ちたいが、同社では、例えばベッドで寝ているうちに健康状態をチェックして、病気の早期発見をするといった健康面に関するもの、それぞれの家を通信技術でつなぐことで、あたかも二世帯が集まって食事ができるような環境を作るものなど、とてもユニークな未来が構想されている。
 

大和ハウス

大和ハウスが「アスフカケツノ」事業で2055年までに10兆円を目指すというのは有名な話だが、これは住宅事業をコアとしながら海外やロボット・農業に至るまで、さまざまな社会的課題の解決をビジネスに結び付けていこうというもの。

全自動衣服折りたたみロボット「ランドロイド」など、一見突拍子もないように見える事にも次々とチャレンジしており、次なる時代に向けてさまざまな種まきを始めている。
 

積水化学工業

積水化学工業は同社のアイデンティーである、ユニット工法をさらに進化させる方針であり、次世代CADシステム「新SCOPE」の開発に着手している。

新システムの導入では、クラウドサーバーにより邸データ(建物と敷地の情報)を一元管理することで、様々な効果が期待できるようだが、将来的にはAIによる自動設計を実現しようというところまで視野に入れているようで、究極の工業化住宅を突き詰めるといった方向性を示している。
 

最後に

人口減少や家余りなど、住宅業界に携わる人たちにとって不安なキーワードばかりが目立ってはいるが、住宅に携わる企業にとって今という時代は大きな変革のチャンスだと捉える事もできる。

ハウスメーカーが描く未来がどのようなものになるのか、期待感を高めながら新しい時代を迎えたい。(関・和)
 

※2019年1月号の月刊ハウスメーカーレポートでは、上記の内容に絡む、ハウスメーカーのIT活用、VR活用、新CADシステムなどの特集を予定しております。

 
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