新制度の第二弾施行、民泊時代の幕開け

  ストック市場にとって大きな転換期を迎えることになるであろう2018年度であるが、第一弾は、安心R住宅とインスペクション説明の制度が4月にスタートした。まだ始まったばかりで、その後市場に変化が起きているかどうかはハッキリしていない。続いて6月15日に施行されたのは、民泊新法である。これはストックに限ったことではないが、現状では既存住宅からの転用という使い方が主流になっていると見られる。
 規制が厳しく、スタート時の届け出は3,728件と、低調な滑り出しであり、ビジネスとして民泊が根付くのには時間が掛かるかもしれない。ただ立地等の条件によってはストックを効果的に活かすビジネスになりうる。従来訪日外国人の1割は民泊を利用するということで、2030年の訪日外国人6,000万人計画においては、民泊による受け皿増加は必須である。通常のホテルにないメリットを見いだせるかどうかがカギになって来るだろう。
 第一には、体験重視型で、その街に住むという感覚が味わえる民泊である。ホストとの交流、地元の店舗で買い物をして自炊する、街のイベントに参加する等、ホテルでは体験しにくいコト消費といった側面があると成功しやすい。
 第二は、価格重視型で、戸建の場合は、一度に大勢で泊まることで割安となるケースが多いだろう。仲間同士で楽しむのも、個室のホテルよりも戸建は一緒に行動が取りやすい。
 第三は、異文化コミュニケーション型。体験重視ともつながるが、特に外国人にとっては、日本の文化に触れたいというニーズも多い。その点では古民家にしかない味わいを体験するには、ストックを活用しない手はない。ここにはリフォーム市場の一つの成長拡大の可能性がある。住友林業や住不が得意とするような古民家リフォームによって、古い住宅を民泊として再生するには、ストックビジネスのノウハウがモノを言う。
 全国古民家再生協会の調べでは、全国の古民家ストックは128万戸。再生可能な物件がその約半数あると試算されている。同協会と楽天ライフルステイ、そして米国ホームアウェイは業務提携を交わし、民泊としての活用を促進させる。ストックが動くのは、相続時ということも多い。空き家になる前に業者が買い取ってリノベし、民泊施設として運営してもいい。
 自治体ごとに設けられた厳しい規制も、優良な市場を構築するにはやむを得ない。エリア的に向いていないところは難しいが、地域活性化にもつながる民泊に、是非チャレンジしたい。(関)

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