新しい家電量販店の戦略

 住宅業界の再編がにわかに活発化しているようだ。大企業であるパナソニック、三井不動産、ヤマダ電機が、傘下にある新築住宅会社を完全子会社化して、住宅事業の強化を図るという動きが続いている。この3社、いずれもリフォームにおいての存在感も大きい。
 パナソニック、ヤマダ電機は、片やメーカー、片や小売り業者ではあるが、共に家電を扱う大企業だ。そしてエンドユーザーに対してのBtoCビジネスにおいても、家電と住宅というマッチングをうまく使うことで、まるごと訴求を行っている点も同じだ。
 パナソニックは、既にパナソニックリフォームというブランド戦略でユーザーに浸透し始めている。大型ショウルーム戦略も、ブランド浸透に一役買っている。一方、ヤマダ電機でも「リフォームのヤマダ」という方向性を狙っているが、従来までは十分軌道に乗っているというわけではないように思われた。
 ただ最近のヤマダ電機は、より本気度の高い戦略でもって、住宅ビジネス、特にリフォームを強化し始めている。昨年はリフォームのナカヤマを傘下に入れ、現在は完全に吸収合併して、従来のヤマダ電機のリフォームと一体となって、戦力としてはかなり強化されてきている。店舗の方もリフォーム、家具、家電が一体となった「家電住まいる館」への転換を加速させており、現在全国に40店舗展開であるところを、まずは今期中に100店舗まで拡大させる。販売スタッフにもインテリアコーディネーターの資格を取得させて営業力の強化も図る。今後3年以内には、ヤマダ直営店のうち、4割の300店舗を家電住まいる館に改装し、IC1,000名体制にしていく計画という。
 推計ではヤマダ電機で200億円、ナカヤマ200億円、エスバイエルで100億円、その他ベスト電器等もあるため、グループ合計では600~700億円規模のリフォーム売上高にはなると見られる。ヤマダ電機の現社長は、エディオンのリフォームを成長させたことで知られる。家電、リフォームからインテリアを一体とした販売戦略で、部屋まるごとリフォームという手法が、今後どういう形で一般化していくのかは注目される。
 家電店舗でのリフォームは、リフォーム店でのリフォームとどう違うのか。新たな客層の発掘という意味で、家電リフォームには業界の裾野を広げる可能性がある。(関)

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