リフォームは本当にエコなのか?
脱炭素が人類の目指すべきものであることは、世界共通認識である。
断熱性能の高い住宅を建てること、地産地消で地元の森林の木材を使って炭素を固定化すること、太陽光発電でエネルギーを作って蓄電池に貯めて自給自足できる住宅を供給すること。
住宅業界でも様々な形で脱炭素に貢献することが出来る。
木材を使えば脱炭素に直結するのかというと、木材輸送時やボイラーを使った木材乾燥等でのCO2排出量は多く、何処の森の木をどう加工して、どう運んでくるか等、脱炭素を突き詰めて考えると、いろんなことを数値化する必要がある。
では、古い住宅を壊して建て替えるのと、活かせるものは極力残してリノベーションするのを比較した場合、建て替えるよりも既存住宅を改修する方がCO2排出量が少ないということは、想像に難くない。
あるものを活かして使うストック活用は、SDGsでも「つくる責任、つかう責任」として目標に掲げられており、リフォームは脱炭素への貢献度は高いはずである。
数値化が進むリフォームの脱炭素効果
ただそれが建て替えと比べてどれくらいの脱炭素効果があるのかは、これまで数値として証明することが出来ていなかった。
そこで住友不動産は、東京大学、武蔵野大学と、新築そっくりさんの脱炭素効果に関する共同研究を始めた。
第1フェーズとして、2021年12月から2022年3月まで、既存戸建住宅の改修における環境評価手法の確立を目的とした研究を実施。
新築そっくりさんの実際の改修現場で行われた調査の結果では、建物性能(耐震性・断熱性など)を大きく向上させる全面改修工事をした再生戸建住宅は、同様の建物に建替えるより、CO2排出量が47%削減されることが分かった。
■ 建て替えとリフォームの脱炭素効果
使える構造材を残して、基礎・躯体等を再活用することで資材投入量等が大幅に削減される。
解体も最小限に抑えることで、CO2の排出は削減できる。
この数値化に成功したわけだが、更に今後は1棟1棟の分析をしなくても、数値化されるようなシステムを開発する計画である。
その次は既存住宅の改修による長寿命化の効果の検証。
また住んでいく上でのCO2排出はどうか、第3フェーズとして、省エネ・創エネ設備の導入効果を検証する。
最終検証までは3年程時間を要するというが、リフォームの脱炭素貢献度の高さを証明できれば、ストック市場拡大の大きな後押しになる。(関)
■ 新築そっくりさんの脱炭素効果研究の手順と今後の方向性
こちらもいかがですか?
JSKコラム(2022年)TACTリフォームウッドショック住宅業界新型コロナ