ハウスメーカー×コインパーキング

先日ある住宅会社を退職され、自身で不動産事業を始めた方にお会いしてきた。不動産売買仲介も行っているが、現状の主力はコインパーキング。その方の場合は、付き合いのある駐車場管理会社から月極め駐車場オーナーの名簿を入手し、そこへアプローチすることで、月極めの一部をコインパーキングにするなどし、徐々に管理車室を増やしているそうだ。

実はコインパーキングに関しては住宅業界でも事例が増え始めている。例えば大和ハウスが買収したダイヨシトラスト及びトモの2社を今年3月1日付で経営統合し、新たに大和ハウスパーキングを設立したほか、古くはスターツの関連会社であるスターツアメニティが同じくコインパーキング事業を営んでいるのは有名。積水ハウスも、東京、神奈川をカバーする積和不動産で、MASTパーキングというブランドで着手しているとも聞く。

依然アパートを始めとした土地活用事業に関して、住宅会社側の動きは活発なものではあるが、目下各社が整備をし始めたのは土地活用メニューの広がりで、サ高住はもちろんのこと、コインパーキングもそのメニューの一つには成り得ると思われる。

確かに土地オーナーは、土地活用はしたいが今すぐアパートとまでは行かないケースもあるかもしれない。その場合、コインパーキングはオーナー側から見れば初期投資が不要など比較的簡単に取り組めるというハードルの低さがあるほか、住宅会社側にはその事業を通じてオーナーとの接点継続が出来るメリットがあると思われる。リパークの三井不動産リアルティに聞くと、コインパーキング用地は平均6年で別の用途に変わるそう。実際、前述のスターツなどは、コインパーキング→賃貸住宅というパターンは多々あるとの話も聞く。

アパート強化に取り組みを開始している中堅ハウスメーカーは少なくないが、中堅になるほど残念ながら土地活用メニューは少なく、参入が比較的簡単と言われるコインパーキング事業を考えてみるのも、幅の一つになるかもしれない。(清水)

この記事の著者

清水 直人

住友林業(株)での8年間の営業現場経験の後、2001年3月に住宅産業研究所へ入社。現場営業マンや各地のメーカー・ビルダーへの直接取材を行い、時代にあった住宅販売戦術を分析。それらの分析情報をもとに研修・講演業務を実施している。
一方で月刊TACTなどへの執筆活動も実施。最近はアパート市場の販売分析にも注力し、専業会社他でも研修を行っている。

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