消費増税まで1年、対策準備は万全か

 消費増税まで1年を切った。つまり消費税8%の経過措置までは半年である。あと1年ということになると、さすがに住宅購入を考えている層はそろそろ動きを見せてくるだろう。メディアも消費増税というワードの露出が増えて来た。物件探しや注文住宅ならば展示場へ行ってみようという駆け込みの動きも出てくる頃だ。いよいよ本格的な消費増税へ向けた販促も行っていく時である。
 今回の増税前駆け込みは少ないと見る予想が多いが、若年人口の減少等から多くを期待できないことは確かだ。大手ハウスメーカーの戸建の受注はとにかく低い水準が続いており、前回増税後から回復していない。ただやっと底を打ったということか、8月の受注は前年比で軒並みプラスで、二桁増の会社も多かった。これまでずっと悪かっただけに、駆け込み効果を考えれば案外プラスの幅は大きくなるかもしれない。心理的に高額消費においては、増税前にという行動は必ず起きる。
 一方で、耐久消費財対策ということが検討されており、政府の消費税増税後の反動減対策もしっかりと確認しておきたい。第一はすまい給付金の拡充と贈与税非課税枠の拡大である。これは既に決定している事項であるため、このメリットを享受できる施主には増税後にもチャンスがあることを伝える必要がある。
 第二には、省エネ住宅と耐震へのポイント付与である。これはリフォームへの対応策ということになるだろうが、耐震と省エネ共にポイントが出ればリフォームにとっては反動減対策になりうる。
 第三は、住宅ローン減税の拡充があるのか、またフラット35Sの金利優遇の拡大があるのかどうか。ローン減税に関しては、減税額を増税後に一時的に引き上げる案や、21年末までの期限を延ばす案が検討されているが、これも確定事項ではないため、どういう展開になるのかは注視する必要がある。
 自動車や住宅などの高額消費は、消費税率引き上げの影響が大きい。一斉値上げとならないよう、19年10月にとらわれず、実際に商品の価格を引き上げる時期を企業が柔軟に決めるよう促す方向性もありそうだ。
 諸々の施策が反動減を抑えてくれる効果は多少はあるだろう。また今回は幼児教育の無償化や子育て支援に税収分が回され、食料品は上がらないということで、生活費負担増は抑制される。住宅購入世帯には、購入のメリットを、エネルギー消費削減、資産価値維持、売却時の安心といったことを伝え、増税前もいいが、増税後も買った方がいいということを伝え続けないとならない。(関)

 

 

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