断熱リフォームで業界一致団結

断熱化推進の背景と業界の連携強化

リフォームの業界が断熱化の推進に本格的に動き始めている。7月末に住友不動産を代表事業者とし、三協立山、LIXIL、YKK APのサッシメーカー、一般社団法人の業界団体等、7者により断熱・省エネリフォーム推進タスクフォースが発足した。
夏の暑さが厳しい。熱中症のリスクも高まり、エアコンなしではとても過ごせない。古い戸建住宅はエアコンの効きも悪く、電気代もバカにならない。現在、日本の家庭でのCO2の排出量は、国内全体の排出量の約7分の1であり、その削減は喫緊の課題である。そのためにも既存住宅の断熱化が欠かせない。国交省調査を基にした推計では、住宅ストック約5,400万戸のうち、断熱性能が基準を満たしていないストックは全体の82%、約4,400万戸もある(令和4年度時)。また住宅土地統計調査を基にした環境省推計では、全ての窓が二重サッシ・複層ガラスの住宅ストックが約900万戸で全体の18%、一方で単板ガラスのみの住宅ストックは約3,600万戸で全体の67%を占める。1軒でも多くのストックの断熱化を目指すのが、このタスクフォースである。
断熱・省エネリフォームの普及促進を目的に、業界の枠を超えて結成された横断的な組織だ。3つの分科会を設置し、それぞれの専門性を生かした取り組みを進める。消費者向け認知拡大分科会では、住友不動産とサッシメーカーが手を組んで、認知度向上・普及拡大を目指す。今後更に参加団体を増やして業界全体で一致団結することが望まれる。

 

認知拡大と体験型イベントによる普及戦略

現在、手厚い省エネ補助金があるにも拘わらず、なかなか申請が進捗していないのは、消費者が知らないからだ。内窓を付けるだけなら工事も簡易であり、効果は十分に見込める。断熱・省エネリフォームの効果を認知させることは早急に果たすべき業界使命である。
スローガンは「家族の幸せ まずは断熱」。断熱リフォームの素晴らしさを見て、触れて、感じてもらえるよう体験型イベントを展開していく。例えばLIXILの体感型ショールームは、昭和55年基準の昔の家、今の家(断熱等級4)、これからの家(断熱等級6)として同じ間取りで3軒を比較。外気温を0度、エアコン温度を全て20度に設定してその差を体感でき、サーモグラフィー画像でも見える化する。断熱リフォームは体験・体感してもらうことで説得力が格段に上がる。酷暑の夏、極寒の冬こそ、断熱リフォームのメリットを訴求しやすい。このタスクフォースの発足をきっかけとして、業界全体での断熱リフォームの普及促進に期待したい。

 
■断熱・省エネリフォーム推進タスクフォースの構成と活動内容
断熱・省エネリフォーム推進タスクフォースの構成と活動内容
 

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