半世紀前から現代への住宅着工の変化

人口と共に増加した住宅着工

 2026年は住宅産業研究所が設立から50年を迎える年に当る。半世紀前の設立当時と今とでは、当然ながら住宅市場も大きく異なっており、業界を取り巻く環境の変化によって市場構造は激変した。
50年前の1976年度の住宅着工は153万戸。直近の2025年度(71.1万戸)の2倍以上もあった。持家着工だけで70.3万戸あり、今の総着工数に近いボリュームである。70年代の日本は高度経済成長期の勢いが残り、人口増加期で住宅不足だった。第二次ベビーブームとなった1971~74年は団塊ジュニア世代の生まれた年で、毎年200万人以上の新生児が誕生し、人口増加率も年率1%を超えていた。潤沢な需要を背景に、1972~73年は飛びぬけて着工が増えた。持家は72~79年までの8年間、70万戸前後の着工が続いた。住宅着工がピークとなったのは、年度計では72年度の185.6万戸。年計では1973年の190.5万戸。73年度計は176.3万戸と、3ヶ月のズレで大差があるが、この時に着工を急減させたのが、第一次オイルショックだ。74年度住宅着工は前年比28.5%減の126.1万戸である。
 
■70年代住宅着工利用関係別の増減率
コラム図
 

変化する市場構造と外部環境

 72~74年度にかけて最も着工が減少したのが貸家である。2年で半分以下にまで激減した。実需である持家と、投資や相続税対策などが目的に含まれる貸家や分譲住宅では、着工動向が異なり、経済的ショック時には貸家や分譲の変動が大きく出る。バブル期に向けては貸家、分譲が急ピッチで増加、バブル崩壊で一気に激減するが、これはリーマン危機時も繰り返されている。一方で持家は経済危機時においてそこまでの急激な変動はないが、実需を反映し、利用関係別に見て50年前から最も大きく減少したのは持家だ。
結果、半世紀で利用関係別の構造も変化を続ける。総着工に占める持家の割合(持家住宅率)は、1976年度は45.9%、25年度は27.4%である。持家着工は増減を繰り返しながら、総着工に占めるシェアは徐々に低下して現在は3割を下回り、反対に貸家の着工割合が増え、直近では4割以上を占める。
日本は資源が少なく、外部要因に影響されやすいことは今も変わらない。50年後に再び現実となっている令和のオイルショックにおいても、エネルギー価格高騰や為替変動によるインフレ等、世界情勢の変化が国内経済を直撃している。こういった外部環境の変化には抗いようがなく、頻発する危機をどう乗り越えていくかが経営のカギでもある。
■50年前と現代の着工比較と持家住宅率の推移
コラム図
 

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