日経平均株価5万円時代の住宅顧客は?

株高が住宅市場にもたらすプラス効果

想定をはるかに上回る勢いで上昇し続けている日経平均株価。8月以降、過去最高値を更新し続けており、一昔前は信じられないことであったが、5万円の大台超えが現実味を帯びてきた。ただ株価の上昇銘柄には偏りもある。牽引役はAI、半導体、防衛関連株等であり、住宅関連株はこの高市トレードにおいてはやや取り残され気味である。
いずれにしても、株高が住宅市場に与える影響は、基本的にはプラスである。但し株を多く保有していない一般の消費者への直接的な恩恵はほとんどないと言えるため、プラス効果は限定的だ。住宅市場にプラスとなりうることとして、以下が挙げられる。
第一に、株で大きな含み益・売却益が出た富裕層による住宅取得意欲の向上である。法人オーナーや経営者にとっては、自社の評価や資金調達にも直結する。多くの株を保有する富裕層は、株価上昇で資産が増えれば、「お金を使ってもいい」というマインドが高まり、資産ポートフォリオという面でもセカンドハウスやリゾート物件、投資用マンション等にも目が向きやすい。いわゆる資産効果だ。よって株高の恩恵を住宅事業に活かすためには対象を限定し、特に富裕層向けの高級住宅、資産価値を維持できる好立地億ション等に注力することは有効だ。

 
■2025年の日経平均株価の推移
2025年の日経平均株価の推移

リフォーム需要と“いつの間にか富裕層”の存在

第二は、リノベーション需要の高まりである。昔から言われているように、リフォーム受注は株価動向が堅調な時期には良くなる傾向はある。リフォーム施主の中心となるシニア世帯は、若年層に比べて昔から株を持っている可能性が高い。それこそリーマン危機後やコロナ禍に株を買っていたとしたら、当時の2~5倍、中には個別銘柄でテンバガーとなっている株を保有している可能性も十分あるだろう。今年のリフォーム補助金は予算枠がまだ多く残っていることから、株高+補助金メリットで、リフォーム需要を喚起することは、株価上昇中の今こそ積極化しておきたい。
「いつの間にか富裕層」と呼ばれる、知らないうちに金融資産が1億円を超えていた世帯が増えている。野村総研の調査では、2023年の1億円以上の金融資産を持つ富裕層及び超富裕層の世帯数は165.3万世帯。21年から1割程度の増加である。また5,000万円以上1億円未満の世帯は更に増加率が高く、21年比で32%増の403.9万世帯。準富裕層以上の世帯は約570万世帯もいる。25年は600万世帯も超えていよう。株価の高騰は格差を広げるということも言えるが、株高だからこそ住宅購入に向かいやすい世帯があることも事実である。

 
■高額金融資産保有世帯の推移
高額金融資産保有世帯の推移
 

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