住宅業界の二刀流を目指せ

  たまにこういう明るいニュースがあるからいい。平昌五輪も盛り上がったが、今日本人で最も活躍が注目されているのが、エンゼルスの大谷翔平選手だろう。まだ始まったばかりではあるが、二刀流で記録的な活躍をしている。2つのことで一流になるのは、並大抵のことではないのは容易に想像が付く。

 住宅業界でも2つの分野で1位を取るというのは、実際に難しいことだ。かつては積水ハウスが戸建住宅、アパートの二刀流で全国1位を取っていた。アパートで大東建託が昇ってくるまでは、二刀流トップ企業であったわけだ。

 今現在、大きな括りの分野での二刀流で1位を取っている会社はないと言って良い。戸建は一条工務店、アパートの大東建託、建売の飯田グループ、リフォームが積水ハウス、中古買取再販のカチタスといった具合だ。総合1位の大和ハウスも、個別の分野で1位が取れていないことから、単独のカテゴリーでも1位を狙っていくと宣言している。

 2つの分野で1位を取るのは、事業多角化が進んでいる今の時代にはなかなか難しいだろう。少しカテゴリーを細かくして二刀流を狙うのもいいかもしれない。例えば、細かい括りを加えると、住友不動産は分譲マンション販売1位、マンションリフォーム1位ということが言える。大型まるごと改装という分野を作ればこれもそっくりさんで1位だ。

 更に絞っていくと、例えばエリア内1位がある。これでも結構難しく、例えば神奈川や埼玉でアパート1位の積水ハウスも、神奈川の持家1位は旭化成、埼玉では県民共済が来る。東京は推計値ではあるが、2016年度は旭化成が戸建、アパートで1位を取った。その他では山形のクリエイト礼文が、山形県内で分譲住宅1位、持家は一条工務店と並ぶというところで競る。

 このエリアを商圏、都市別と細かくしていけば、何等かの形での2冠の可能性も出て来るだろう。棟数を競うより利益とは言え、やはり1位になるのはうれしい。2冠となると、社員のモチベーションも上がるはずだ。何かに特化して1位になることも大変であるが、事業バランスを取ることが大切な今、二刀流を目指すということを考えても良い。

 

 

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