新年度から始まる「義務化」制度2021


 

割高感免れぬ税込総額表示

4月から年度も改まって、様々な新たな制度が始まった。物事を分かりやすく、誤解なくちゃんと伝えようという「義務化」が増えている。 
まず、消費税を含む総額表示義務化。増税は既に行われているため、実態は変わらないものの、見た目には結構インパクトがある制度変更と思われる。

住宅においては特に印象が異なって見えてくる。土地に税金は掛からないため、分譲住宅はそこまで大きく差は出ないが、建物2,900万円を、税込み価格3,190 万円と表記されるのは、かなり高く見える。

表記が違うだけで、支払う額が一緒であっても値上げの印象は持たれる。ユニクロは価格を9%値下げして値札の表示を上げないという戦略を取ったが、ここまで価格を一律で下げるのはかなり勇気がいる。
住宅会社で9%の利益を出せている会社がどれだけあるだろうか。
とても9%値下げは出来ない。
 

説明義務強化で労働者の待遇改善へ

次に労働者に対する待遇の説明義務の強化
パートや有期契約社員に対して、待遇差の内容・理由の説明義務、不利益取り扱いの禁止といった説明をしなければならない。
働き方に関しては、中小企業においても残業時間の制限、有給休暇取得も1年前から義務化されているが、働く側にとっては待遇は改善される見通しだ。
 

省エネ基準の説明義務化~住宅性能底上げに期待

そして住宅会社にとって重要な新制度は、省エネ基準の説明義務化である。
住宅が省エネ基準に適合しているかどうかを建築士が説明し、基準を満たしていない場合は、基準を満たすにはどういう仕様にする必要があるか、いくらくらいのコストアップになるか等を説明しないといけない。

基準適合は努力義務だが、省エネの必要性や効果についても併せて説明することが望ましいとする。
省エネ性能が高い住宅の方が、エネルギーコストが下がって経済的だし、健康上も良いと説明するということだが、ただこれは当たり前に住宅営業の一環としてやるべき訴求ポイントでもあろう。 

なお対象となるのは、4月以降に設計を委託された物件で、300㎡未満の住宅・非住宅となっており、分譲マンションや建売住宅は建築士が説明することが難しいこともあり対象外である。

大手建売業者はトップランナー基準を満たしているが、脱炭素社会の実現へ進んでいる今、本来はもっとレベルの高い省エネ性能の住宅を普及させなければならない。
最低限の基準をクリアするのではなく、ここはもっと本気で取り組むべきだろう。

義務化というと堅苦しいが、世の中のために必要かつ重要であることに対しては、ある程度強制力は必要だ。 (関)

 
■2021年4月~省エネ基準の説明義務化
2021 年4月~省エネ基準の説明義務化

 

もっと月刊TACTの記事を読む

※無料試読のお申込みはこちら

 

by .