住宅着工は構造的減少局面へ
2025年の住宅着工暦年計(1~12月)は前年比6.5%減の74万戸となった。リーマン危機後の09年度を3.5万戸下回る数字であり、1963年以来、62年ぶりの水準である。25年度計(4~3月)は法改正前の駆け込みが含まれない分、この数字を下回ることは確実である。2024年計も79.2万戸と80万戸を割っており、本格的な70万戸時代の始まりを告げる大きな節目となった。
1980年代以降の住宅着工を見てみると、この40年の間、増減の波はありつつも、一貫して減少方向で推移してきた。特に持家は2014年4月の8%への消費税増税後は、プラス方向への動きをほぼ受けることなく、減少が進んできた。着工戸数推移の近似直線を辿れば、2030年頃には住宅着工数は65~66万戸、持家は約18万戸に減少する。
■住宅着工の70万戸時代は長くはない

人手不足が加速させる着工減
住宅需要が減退しているのは、建築コストの高騰、インフレや金利上昇といった要因もあるが、根本的には若年人口の減少と住宅の長寿命化、そしてストックへのシフトである。着工減少は概ね想定通りのものとなっているが、需要の減少と共に長年掛けて大きく減少してきたのが、供給側のキャパである。つまり家を作る労働力が足りていない。よく知られている大工の減少、高齢化問題である。
大工人口は1980年には90万人を超えていた。10年間で10万人以上減少するペースで推移しており、2025年の大工就業者数は約22.5万人と推定されている。左官職人も減少は著しく、4.2万人程度と見られている。人員減と共に深刻とされているのが、大工の高齢化である。2020年時点で65歳以上が4割を占めており、平均年齢は54歳。団塊の世代が75歳以上を迎える2025年問題もあるため、更に大工引退者が増えていくと考えられる。昨今ではフィジカルAIなど、人に代わってロボットが活躍する技術も進歩しており、代替労働力という点で期待はできるものの、大工の育成は急務である。
人手不足による供給減は既に顕在化し、需要減と共に着工を押し下げていく。市場環境が厳しく、労働力不足が解消されなければ、着工減少スピードはより加速していく可能性もある。始まったばかりの70万戸時代は、近い未来に終焉を迎えることも現実味を帯びてきている。その先の60万戸時代を見据えた事業計画も考えておきたい。
■大工の人数と平均年齢の推移

