急拡大の中古住宅成約と非住宅リフォーム

首都圏中古住宅成約件数は二桁増続く

今年度の新築住宅着工は法改正の影響もあって、大幅な前年割れが続き、少しずつマイナス幅は小さくなっているものの、80万戸割れとなるのは確実と言えそうだ。一方で、中古住宅の成約状況は堅調である。下図では首都圏の中古マンション・戸建の成約件数の前年同月比を新築着工(全国)と比較したが、中古成約件数は昨年11月以降、今年8月までの成約件数は前年を大きく上回って推移する。25年に入ってからは二桁増が続きプラス幅も拡大基調である。
 首都圏のマンション市場では中古成約が新築供給を上回る状態が9年続いているが、最近は特に中古戸建の成約件数の伸びが著しい。今年8月に至っては前年比7割増にまで伸ばしている。インフレ下においてストックの需要は確実に顕在化しており、住宅会社にとって中古住宅流通との連携、買取再販の強化は、事業拡大のための必須テーマと言える。大手ハウスメーカーでは優良ストック流通の促進を目指すスムストックに力を入れているが、成約件数は2年連続で2,000件超えと着実に成長している。その拡大要因の一つが中古買取再販の強化である。スムストックは自社オーナーストック流通の仕組みだが、マンション等も含めた買取再販では、大和ハウスは24年度マンション87戸、戸建84戸の計171戸。パナソニックホームズ不動産は、マンション80戸、戸建25戸の計105戸となり、売上高は前年比74%増の103億円と急伸した。
 
■中古住宅成約件数と新築着工の前年同月比推移
中古住宅成約件数と新築着工の前年同月比推移
 

非住宅リフォームの市場規模は住宅の2倍以上

ストック流通はリフォーム市場の拡大にも寄与すると見られるが、このところリフォーム市場で拡大が加速しているのは、非住宅である。国交省のリフォーム・リニューアル調査によると、住宅リフォーム受注は直近1年は四半期で前年割れとなっている時期もあるが、非住宅リフォームの受注は拡大傾向が続く。市場規模も大きく、24年度の年間受注額は10兆円近く、住宅リフォームに比べて2倍以上の市場ボリュームだ。直近の25年4~6月期は前年同期比12%増の2.9兆円規模まで拡大している。
 大和ハウスはストック領域でも非住宅事業の強化を進める。24年度に4,055億円まで大幅に伸長したリブネス事業の中でも、特に成長が著しいのが、BIZ Livness(ビズリブネス)である。建築費が高騰している今、ストックを活かして使っていくことが、当然のように求められている。
 
■住宅と非住宅のリフォーム受注額推移
住宅と非住宅のリフォーム受注額推移
 

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