「工場“魅力化”推進計画」とそのアピール

積水化学工業は2014年度から総額170億円の設備投資をして、全国8ヶ所の住宅生産工場のテコ入れを図ってきましたが、今期までに全てのリニューアルが完了したようです。
そのプロジェクト名は「工場魅力化推進計画」と呼ばれるもので、同社の特徴でもあるユニット構法の魅力を伝える場として「工場」を活用しようという取組みです。例えば、九州工場では、工場建屋を建替えるなど大掛かりなテコ入れを図ったようで、土日にも稼働しているラインを見ることができるそうです。この計画により2017年度の工場見学来場者の目標は、リニューアル前の倍にあたる10万人と設定しており、販売のプロセスに「工場」を組み込もうという動きになっています。

同社の主力商品である鉄骨ユニット構法は工場内の徹底した品質管理の下、顧客のニーズにきめ細かく対応する形で邸別生産されます。工場生産化率は80%以上であり、現場での作業をできるだけ省力化することで、高品質・短工期を実現するという内容です。同社のアイデンティティーとも言える生産現場をしっかりとユーザーにアピールすることが今回のプロジェクトの狙いです。

また、このような取り組みをアピールする場としてホームページにも「一生モノ工場」といったコンテンツが登場ました。品質管理といった点で共通した思想を持つ山口県の日本酒「獺祭」やFMラジオ局とのコラボなど、WEBでも魅力的な情報を発信しています。また、おもしろいのは顧客との接点を促す仕掛けとして「お近くの“展示場”を探す」ではなく「お近くの“工場見学”を探す」というページが作られた事です。ホームページで魅力を伝えることで興味を持ってもらい、その着地点として工場見学に来てもらおうという動線になっています。

この数年、着工統計に占めるプレハブシェアは低下傾向にはありますが、「工場でつくる質の高い住宅」というプレハブメーカーの原点を改めて訴求しようということでしょう。モノよりもコトというマーケティングが主流ですが、住宅メーカーとして改めて「(一生)モノ」の魅力を伝えるという内容となっています。(関・和)

■リニューアル後の九州工場外観
ハイム九州工場.jpg

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