住宅業界は節目の年
2019年という年がもう間もなく終わるが、非常に大きな節目の年だったと言えるだろう。住宅業界という枠ではなく、平成から令和へ、そして10%への消費増税、ラグビーワールドカップの自国開催、そして台風による被害や首里城火災という災害も多発した年であり、時代の転換点となったことは間違いない。
住宅業界にとっては、やはり「消費増税」という出来事は大きかった。
消費増税の対応策
住宅業界に大きな転換点がやって来ていることは、あらゆる点で感じられる。まずは大きな2つの崖が訪れており、その一つが消費増税だ。増税の対応策に関しては、前回増税後にビルダーが伸びを持続させられたのは何故かというところにヒントはある。
若年人口減少の影響
ただ時代背景がその間にも変わっているため、前回同様とはいかないだろう。その2つの目の崖が、「若年人口減少」が現在進行形で進んでいること。このことは持家市場に大きな影響をもたらす。
若年人口減少は、住宅業界には特に不利に働くが、人生100年時代になり、本当にストック型社会が訪れれば、一生涯住宅に手を加えて資産を維持していく世の中にもなりうる。社会が変われば、住宅は若年層が買うという既成概念すらなくなるかもしれない。
価値観の変化
ユーザーの価値観の変化も大きなものがある。所有欲がなく、何でもシェアするという価値観。買ってすぐ売るというメルカリ消費はストック循環型社会へ急速に進ませる可能性もあるだろう。古い考えでの住宅供給では、太刀打ちできない消費形態が誕生してきているということだ。
AI、ITの過渡期
世界中に押し寄せている大きな変化としては、AI、ITによって世の中全体が変わっていく過渡期にある。これはプラスにもマイナスにも考えようはあるが、プラス思考で考えたい。
大手ハウスメーカーだけでなく、ビルダーや工務店でも進んでいるところは進んでいる。ノマドアーキテクチャーといった、本拠地を持たずにアプリとスマホで建築事業を回すビジネススタイルも出て来ている。新しい概念を見方に付け、それをうまく活用できるようになれば強いはずだ。
東京五輪への期待
2019年も大いに変化のある転換点の年となったが、2020年も東京五輪開催という景気期待も高く、また終わった後の反動も含めて、その影響を想像しがたい大イベントがやって来る。
日本にとっても節目の年である。2020年代、今までの常識を覆すような、明るい住宅業界の未来を見てみたい。(関)
■住宅市場の崖と世の中の変化の中、2020 年代へ
住宅業界月刊TACT消費増税