一条工務店はまだまだ伸びる

今住宅メーカーの中で最も勢いのある企業の一社が一条工務店です。全国の持家着工戸数が減少していく中、同社の販売棟数は右肩上がりで推移しており2014年度は約12,000棟で、2015年度もこの棟数をキープすると思われます。

好調要因は特徴が分かり易いことで、「家は性能。」とあるように、断熱気密性が高いのが一条工務店の最大の特徴です。新仕様の「i-シリーズⅡ」では、Q値が0.51 W/㎡・Kと高い性能があり、「高い耐震性が~」といった曖昧な訴求ポイントではなく、数値として明確に他社と比較出来る性能を売りとしています。その他「夢発電システム」、「全館床暖房(冷房)」など、他社では積極的に取り組まないことを中心に強化を行うため、様々な商品がある中でも、秀でている部分が目立ちやすく、素人でも違いが分かり易いため差別化が成功しているものと思われます。
また、CMなど販促を行わないのも特徴で、知名度が少ない分モデルハウス来場者からすれば期待値が低い状態で展示場に入りますが、そこではマニュアル化されたトークや性能の高さを肌で感じられる様々な体感をさせ、説得力のある説明が行われます。もちろん確かな性能があるためそのギャップが顧客に響いていると思われます。

最近の住宅メーカーの狙いは棟数より金額に偏っている傾向があり、「富裕層」、「邸宅」といった切り口の訴求が増えていますが、一条工務店はその逆で一段下の層をうまく取り込んでいます。そのため大手メーカーと棲み分けが出来ており、また商談パターンとして1社検討で話を進めスピード契約に持っていくことが多いことから、他社からすると競合する前にいつの間にか負けているということも少なくないはずです。

一条工務店の最近の動きとしては分譲地の仕入れが目立ってきました。3~4区画の小規模分譲地の他、越谷レイクタウンや、流山おおたかの森などの大規模な分譲地も積極的に購入しています。これにともない建売も増えており、「i-palette」というブランドで性能はそのまま大容量太陽光を搭載し、住んだ後の「お得感」も演出しています。全国各地で増えているローコスト分譲ビルダーの顧客を奪えるような仕掛けです。今まで土地政策を行っていなかった分、外数としての棟数増加に寄与し、まだまだ実績は増えそうです。(高津)

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