補助金活用、足元では鈍化?
今のリフォーム市場を後押ししてくれているものの一つは、3省連携の省エネ補助金である。24年度はハウスメーカー各社、23年度に比べて申請件数を伸ばし、補助金を有効活用したところが多かった。ただ25年度のリフォーム補助金は昨年に比べて少し進捗が悪いようだ。特に要件が変わった子育てグリーン住宅支援事業の進捗が悪く、6月20日時点での申請は予算枠の4%に留まる。窓リノベが11%、給湯補助金が29%であり、思うように使われていない。ちなみに昨年は終了時点で子育てエコはリフォームでは98%、先進的窓リノベは73%、給湯省エネも97%と上限に達しなかった。
補助金と株価に連動する受注動向
大手ハウスメーカーの動向等を見る限り、直近4年間のリフォーム受注動向は、堅調に推移したという認識であるが、国交省の「建築物リフォーム・リニューアル調査」(下図)では、足元の住宅リフォーム受注高はやや減少傾向となっている。同調査によれば、特にリフォーム受注が右肩上がりで推移したのは、22年度ⅣQから23年度IQと、23年度ⅣQから24年度IQの期間(24年1~6月)である。2024年前半の住宅リフォーム受注高は1兆円~1.2兆円(四半期)のボリュームであり、特に24年度IQは、2016年に同調査の大幅な見直しがされて以降の最高値を記録した。この期間の追い風の一つは、24年度の補助金が始まり一定の需要を喚起したことで、受注を後押しした可能性はある。もう一つはこの時期に株価が上昇基調で推移したこと。24年2月には日経平均株価が34年ぶりに最高値を更新し、7月に掛けて株価は4万円前後を推移した。補助金と株高の効果で24年度IQの住宅リフォーム受注高は絶好調だったと思われる。
1年前の8月、令和のブラックマンデー以降、株価は乱高下が続き、ⅡQ(7~9月)は失速。ⅢQ(10~12月)は再び前年を上回り、株価の戻り基調と補助金の駆け込み受注の効果があったと見られる。ⅣQは補助金終了と株価下落基調で、前年比12%減と落ち込んでいる。
補助金の申請が鈍化しているのは、一定の需要が一巡したという見方もあれば、まだまだアピールが足りないという声もある。経済メリットをもっとプッシュすれば潜在需要は確実に喚起されるはずである。補助金を徹底活用したい


※国交省「建築物リフォーム・リニューアル調査」