リクルート「2016年のトレンド予測」

リクルートでは毎年12月に、同社が展開する住宅、進学、美容などの各事業領域の、翌年のトレンド予測を発表しています。

「住宅」領域では『住民経営マンション』というキーワードが発表されました。2000年代前半から増加した東京湾岸のタワーマンション群が、そろそろ1回目の大規模修繕の時期に差し掛かります。
これまでのマンション管理は、マンション管理会社にほぼ丸投げで、管理会社の草案を理事会・組合がそのまま承認するケースが大半であると見られます。

一方で、最近のマンション購入者・居住者の傾向として、マンションを資産として捉え、その資産価値を守る意識が高まっていることを指摘し、理事会・管理組合の自主性が高まる兆しにあると、リクルートでは予測しています。

私も昨年、自宅マンション管理組合の理事長に就いていました。住まい手が意見を出し合って修繕計画や規約の見直しを進めることは、管理費・修繕維持費の支出を減らして次期繰越金を増やし、より快適な暮らしの維持につながるものと実感しました。

「住宅」以外のトレンド予測では、「美容」領域で、訪日外国人による日本の美容室・ネイルサロン等の美容サロンの人気が高まる『美ンバウンド』、「アルバイト」領域では、訪日外国人客向けに外国人アルバイトが増える『多国籍スクラムバイト』のキーワードが上げられました。「社会人学習」領域では、育児休暇中の女性が仕事への復帰のためにスキルアップを図る『育自休暇』をトレンドワードとしました。

訪日外国人の増加は、新築戸建住宅の需要とは直接関係はありませんが、民泊やシェアハウスなどの非住宅分野の需要を感じさせます。育児休暇からの女性の職場復帰は、女性社員が活躍している住宅会社には身近なキーワードと言えます。来年以降の事業計画を立てる上で、頭の片隅にでも置いておくと良いかもしれません。 (布施)

この記事の著者

布施 哲朗

2007年8月に住宅産業研究所へ入社。TACT編集部、マーケティング部を経て、2011年12月にTACTデスク、2018年11月にTACT編集長に就任。
同誌では、ビルダーを中心に全国各地の住宅会社へ直接取材を行い、最先端の商品戦略・営業戦略の情報を収集し記事を執筆、他媒体への記事提供も行う。一方で、建売住宅、リフォーム、海外市場など、多分野の調査資料を作成する他、受託調査、講演、セミナーも行っている。

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