住宅ストックの新リノベ「スマートリノベーション」が始まる

今年度から住宅ストックの利活用を目指した「スマートリノベーション」の実証事業がスタートします。これを企画する次世代不動産業支援機構の記者会見に参加してきました。
今回初登場した「スマートリノベーション」とは、「暮らしに対するユーザーの安心・安全や利便性といったニーズにデザインやICT技術で応え、住宅ストックの利益最大化を実現する次世代の不動産再生手法」としています。住宅ストックにリフォームで付加価値を与え、需要を作り出し、ストック市場を活性化させることが目的です。
ユーザーへの訴求方法においても、今まで設備の説明というとメーカー目線の技術的な説明が多くありましたが、今回は、新しい設備を導入することで、どのような生活を送ることができるかに焦点を当てており、ユーザーにとっても理解しやすくなっています。

現在、この事業を支援する国交省はインスペクションのディテールを煮詰めている段階です。将来的には検査項目に地盤状況を含めた土地情報を加えることが想定されるなど、ユーザーの生活に直結する要素はどんどん盛り込まれていくでしょう。

11月以降には徐々に試行事業に移行していく予定で、スマートリノベの開発、モデルハウス建設を計画しています。

試行地域に選ばれたのは国内でも持ち家率上位にある富山市、秋田市。
日本海に面する雪国の両市は倒壊の危険性のある空き家を多く有する地域です。両市を選択したことはとても有意義でしょう。また、人口減少の著しい秋田ではハードルが少し高くも思えますが、ここでの実証事業の成功は有用性の証明とみていいでしょう。
地元の秋田銀行や北陸銀行などからの関心も高く、既に提携金融機関もあります。本格的な始動となれば、リフォームローンの優遇措置にも期待できそうです。

住宅ストックの利活用というと、自治体が推し進める空き家バンクや企業による中古買取再販などが頭に浮かびます。今回の記者会見の内容によると、新しいビジネスモデルになりうる事業を展開しており、今後に注目が集まるでしょう。

 

■スマートリノベーションの概要
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