土地を有効活用する区分所有型分譲地

1棟の建物が複数の部屋・スペースに分かれ、それぞれの部屋やスペースごとに所有権が異なることを区分所有と呼びます。代表的な区分所有の建物は分譲マンションですが、近頃は分譲地においてもこの区分所有を導入する物件が登場しています。

ミサワホーム佐賀がこの9月より佐賀県鹿島市で展開する「ユメックスガーデン鹿島」(全26戸)は、隣戸との接合を1階の一部に限定した一戸建て形式の分譲タウンハウスです。集合住宅ながら各住戸を雁行型に配置することで、戸建としての暮らしを楽しめる住まいとして提案、広告内では「県内初の一戸建て風分譲マンション」としてアピールを行っています。

戸建て分譲の形を取らず、あえて分譲タウンハウスとした理由については発表されていませんが、これは3方水路に囲まれた立地に因ると考えられます。一般的な分譲地のように戸建て住宅を配置すれば、それぞれで接道要件を満たすことが困難になります。かといってマンションやアパート需要が大きく期待できる立地ではないといった判断から、現在のような「戸建て風長屋」の形に落ち着いたと見られます。

エリアによる大小はありますが、市街地・郊外を問わず宅地開発が進んだことで、近年は「良い土地の出物が少ない」との声がしばしば聞かれます。今後は限りある“良い土地”を探すための土地情報力が必要になることはもちろんですが、今回のユメックスガーデン鹿島のように、一見宅地開発が困難な土地を事業化する仕組みづくりも必要となりそうです。(平野)

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