M&Aで事業を譲渡した側のビルダーも好調

この数年間で住宅業界の再編は一層進み、住宅会社の統合、業務提携、M&Aが多くなっているように感じます。「TACT」6月号の岡山県のビルダー記事で取り上げたヘルシーホームもその一つです。昨年7月に住宅設備会社のナスタに80%の株式を売却して、同社の傘下に入りました。ナスタという会社を目にすることが多くなったのは、昨今話題とっている宅配業者の過剰労働問題です。ナスタは宅配ボックスを製造するメーカーであり、大和ハウスや桧家住宅では、同社とのコラボ・共同開発で宅配ボックスを住宅設備のラインナップに加えています。

ナスタの傘下に入ったヘルシーホームでは、当初はキャンペーンでの無料オプションとして提供していたナスタ製品の宅配ボックス付き門柱を、現在では実質標準仕様としています。宅配ボックスをきっかけとした引き合いが増えたこともあり、ヘルシーホームの集客・受注は好調で、前年比1~2割増で推移しています。
ヘルシーホームは元々岡山県で年間約350棟を受注している地元No.1ビルダーです。10年以上連続で増収を続け、経常利益率10%超を維持している経営力の高い会社です。ナスタに株式を売却したのは、後ろ向きな身売りではなく、業績好調で最も高く売れるタイミングで会社を売ったということです。

最近のビルダーのM&Aは、業績が悪くない、むしろ好調な会社がより大手の会社の傘下に入るケースが多いように見受けられます。ヘルシーホームと同様に、桧家グループに入ったパパまるハウス、オープンハウスの子会社となったアサカワホームは、経営母体が変わってから、以前よりも業績を伸ばしています。M&Aは買った側だけでなく、売った側にとってもメリットが大きい場合があるということです。
最近では、京都のゼロ・コーポレーションが京阪ホールディングス、北海道の豊栄建設がワールドホールディングスの子会社になりました。ビルダー×不動産、ビルダー×異業種のM&Aが今後どのような相乗効果を生むのかが注目されます。

「TACT」7月号では、最近のビルダーのM&Aについて特集を書こうと思っています。また7月のTACTセミナーでも、少しこのテーマに触れてお話しようと思っていますので、ご期待ください。(布施)

■2016年以降の主なビルダーM&A、事業譲渡
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