パナホームが日本初マイクログリッド分譲地開発に着手

先日、パナホームが兵庫県芦屋市で展開するマイクログリッドシステムを使った街並みを拝見させていただく機会がありました。マイクログリッドとして開発されるのは、兵庫県芦屋市の海側の分譲地「そらしま」の一角(117戸の街区)で、同分譲地自体は2012年より分譲がスタートしており、同分譲地内の3棟で構成されるマートマンション(全戸に燃料電池装備)は全83戸が完売。17年10月より着手する117戸のマイクログリッドによる街区が最終となる予定です。

兵庫県芦屋市は、1995年の阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた地域の一つです。ただし既に20年以上が経過しており、これから住宅を購入するユーザーに「大震災時の体験をベースに」という考え方をする人がどれだけいるかは不明な部分もあります。

いざという時の備えはもちろん必要ですが、これから住宅を購入しようという客が気になるのは「結局、いくら得するの?」「どんなメリットがあるの?」という事でしょう。同分譲地では、マイクログリッドを構築することで、
・太陽光発電の域内自給率が80%以上
・蓄電池制御などにより電力料金(外部買電力)を20%低減
といったメリットをアピールしています。同街区は太陽電池で発電した電力を各戸に装備される蓄電池に貯めて、電力を街全体で自給することができるというもので、自給率は80%となっています。これは、災害時にも無駄遣いさえしなければ自活ができるといったレベルだと考えられます。

また外部から買ってくる20%の電力についても、自営線(電線)の敷設と特定供給のスキームにより柔軟な電気料金設が可能で、電気料金の20%程度の削減が可能だという事です。一般的に、電力会社の線を使って電力のやり取りをすれば、それだけで8円/KW程度のコストが掛かってくるということですが、同街区に張り巡らされる「自営線」を活用することで、コスト低減を図るといった考え方になっています。太陽光発電等を搭載していない一般的な住宅で使う電気代を100%とすれば、同分譲地の場合16%の電気代で済むというイメージです。

とはいえ、同事業は「平成29年度地域の特性を活かしたエネルギーの地産地消促進事業補助金」が活用されるものであり、マイクログリッドを備えた街(分譲地)が一般化するのは、まだこれからといった感じもあります。特に、電気を貯める蓄電池の価格がもっと下がらなければ難しいと思われます。いずれにせよ、こういった新しい技術が本格普及するまでの過程では、「実証実験 → 実装+販売 → 低価格化 → 普及」というステップを踏む必要があります。実証実験ではなく、実際に販売される分譲地でマイクログリッドを実現させるという意味で、パナホームの取組みは住宅業界にとっても大きなものと言えそうです。(関・和)

■特定供給・自営線のイメージ